野生動物

日本国内で確認されたアルビノ個体・白変種の記録

 メラニン(色素)を形成する遺伝情報の欠損や減少によって、通常の色彩とは異なり白色になる哺乳類や鳥類・爬虫類・両生類などが観察されています。本ページでは日本各地で観察されたアルビノ・白変種の野生動物についてまとめました。

アルビノと白変種の違い

アルビノとは

 アルビノ(Albino)個体とは、メラニン(色素)を形成する遺伝情報の欠損により色素が欠乏する個体のことです。アルビノ個体は色素を持たないため、通常であれば有色である体色や体毛・羽毛などは白くなり、目は赤色になります。アルビノ個体は哺乳類や鳥類・爬虫類・両生類などの様々な動物で確認されています。

白変種とは

 一方、白変種とは色素の減少により体毛・羽毛・皮膚等が白化した動物の個体を指します。白変種のメラニン産生能力は正常であるため、アルビノの瞳孔が赤く透けるのに対し、白変種の瞳孔は黒い事が大きな違いです。

アルビノ動物の観察事例

哺乳類

ヒグマ

北海道下川町 中学校付近

 北海道下川町の中心部近くにある中学校付近などで全身の毛が白いヒグマが数回にわたり目撃。町は遺伝子の突然変異で体の色素が欠乏した「アルビノ」の可能性が高いとみている。

日付参考
2017年8月9日1頭毎日新聞
(2017/8/17)

アナグマ

岡山県津山市加茂町 小渕
日付参考
1頭山陽新聞
(2020/9/7)

タヌキ

熊本県熊本市北区植木町 不動山平等寺

日付参考
1頭熊本日日新聞
(2022/1/22)

大内山動物園

・アルビノ ポンちゃん

飯田市立動物園

・りゅうくん

エゾヤチネズミ

日付参考
宮津ほか,1988.

ハタネズミ

日付参考
東, 2017.

その他

種名論文
バンドウイルカくじらの博物館, 2015.

鳥類

カワウ

日付参考
1羽佐藤,1994.

ツバメ

奈良県奈良市 平城京跡
日付参考
2012〜2017年12回 4例岡口 & 辻, 2018.

カラス

高知県香南市
日付参考
1羽高知新聞
(2018/9/23)

北海道上川郡清水町

日付参考
1羽十勝毎日新聞
(2014/9/17)

ウズラ

愛知県豊橋市
日付参考
1羽本間ほか,1968.

スズメ

広島県 福山市
日付参考
2022年8月14日1匹中国新聞
(2022/8/14)

魚類

キジチ

青森県下北半島 尻屋崎東沖合5マイル 水深360m
日付参考
1991年5月14日1匹篠原& 尼岡, 1993.

クサフグ

日付参考
1匹重田ほか,2012.

ウチワザメ

徳島県阿南市
日付参考
1匹「幸運呼ぶ!?白エイ 桂浜水族館で「ウチワザメ」アルビノ初展示」『高知新聞』

アカエイ

静岡県 浜名湖

ウナギ

静岡県 浜名湖

ドジョウ

三重県 伊勢市(伊勢シーパラダイス)

アロワナ

和歌山市 用水路
日付参考
2022年7月14日1匹テレ朝NEWS
(2022/7/14)

爬虫類

タカチホヘビ

日付参考
1匹荒尾 & 石田, 2005.

両生類

ツシマサンショウウオ

日付参考
1匹西川, 2000.

ニホンアマガエル

広島県三次市
日付参考
1963年7月7日1匹大東, 1968.

相模川ふれあい科学館

その他

マナマコ

種名参考
マナマコ「とても珍しい真っ白な“ナマコ”幸運呼ぶ?」『日テレNEWS24』

ズワイガニ

新潟県

白変種

哺乳類

ヒグマ

北海道八雲町 日大演習林

 北海道八雲町の日大演習林に設置したトレイルカメラで、毛の白いヒグマの動画撮影に成功(2016年9月~2018年7月に計6回)。野生の白いヒグマは北方領土の国後島や択捉島で確認されているが、北海道で繰り返し撮影されるのは極めて珍しい。

日付参考
2016年9月〜1頭
(メス 成獣)
北海道新聞
(2022/6/2)

ニホンジカ(エゾジカ)

北海道天塩町

 牧草地で白いエゾシカが歩いているのを、留萌市のアマチュアカメラマンが撮影。専門家によると、体毛が白くなる遺伝子が働いた「白変種(はくへんしゅ)」とみられる。

日付参考
2022年5月1日1頭
(メス 成獣)
北海道新聞
(2022/6/2)

カモシカ

長野県塩尻市 北小野

 長野県塩尻市北小野勝弦周辺に、全身真っ白なニホンカモシカが出没している。一瞬、ヤギと見間違えるほど際立つ白さだ。数年前から白い個体は付近にいたようだが、今春に目撃頻度が増え、「幸せを呼ぶ」「神様」などと期待感を込めて地域で話題になっている。

日付参考
数年前〜1頭市民タイムス
(2022/5/13)

タヌキ

大内山動物園

・白変種 ミルミルちゃん

鳥類

ハシボソガラス

島根県益田市匹見町 水田地帯

 水田地帯で翼の一部が白いカラスが7月頃から目撃されている。

日付参考
2017年9月2日1羽朝日新聞
(2017/9/2)

青森県平川市碇ヶ関碇石 道の駅いかりがせき

 道の駅いかりがせき周辺の田畑や電線の上で、目撃されている。黒い2羽が残りの3羽にえさを与えている場面をよく見られ、白い2羽と黒い1羽は兄弟と見られている。

日付参考
2018年6月19日カラス 2羽
(親子5羽が行動を
共にしていた)
朝日新聞
(2018/6/19)

群馬県高崎市

 色素減少で白化する白変個体とみられるカラスが群馬県高崎市で目撃され話題になっている。日本野鳥の会群馬事務局は「全身が白い個体は珍しい」とのこと。

日付参考
2022年5月21日1羽上毛新聞社
(2022/5/24)

ハシブドガラス

青森県八戸市 八戸市営霊園

 羽の一部が白いまだら模様のカラスが7月上旬頃から目撃されている。羽を広げると翼の先端部分の白色が模様のように浮かびあがった。

日付参考
2020年8月19日1羽デーリー東北
(2020/8/20)

ツバメ

高知県高知市 升形商店街

 毎年多くのツバメが子育てに励む升形商店街で、白い体の子ツバメが初めて生まれた。現在は生後3週間ほどで大きく育ち、間もなく巣立ちを迎える。商店街の人々は「幸運を運びに来てくれたのかもしれない」とツバメの成長を見守る。

日付参考
2020年6月末1羽毎日新聞
(2020/7/3)

兵庫県丹波市 水田

 兵庫県丹波市の田んぼに19日、一羽の白いツバメが現れ、住民の間で話題になっている。一般的な黒いツバメの群れに混じって、稲穂すれすれの低高度で飛び、昆虫を捕食している。

日付参考
2021年8月19日1羽毎日新聞
(2021/8/19)

スズメ

 真っ白い羽毛をまとったスズメ1羽が16日、静岡市内で確認された。群れの中で行動していて、餌をついばんだり、毛繕いしたりする姿が見られた。県自然史博物館ネットワークによると、部分白化した個体とみられる。

日付参考
2021年12月16日1羽静岡新聞
(2021/12/20)

静岡新聞 Youtubeチャンネル

キジ

岩手県久慈市 夏井町

日付参考
2020年6月6日1羽デーリー東北
(2020/6/10)

爬虫類

アオダイショウ

和歌山県田辺市 上芳養公民館

 上芳養公民館の敷地付近で、白っぽいアオダイショウが頻繁に姿を見せている。色素をつくる遺伝子が発現しない白変種の個体とみられる。白ヘビは神の使いという言い伝えもあり見守られている。

日付参考
2019年7月下旬〜1匹紀伊日報
(2020/6/2)

引用文献

  • 荒尾一樹, & 石田淳. (2005). 大分県で採集された夕力チホヘビのアルビノ個体. 爬虫両棲類学会報2005(2), 120-121.
  • 東信行. (2017). 青森県弘前市のりんご園におけるハタネズミ Microtus montebelli のアルビノ個体の捕獲. 哺乳類科学57(1), 99-102.
  • 大東義徹. (1968). ニホンアマガエルのアルビノについて. 動物学雑誌, 77(3), 92-96.
  • 本間運隆, 神野雅宏, 佐藤孝二 & 安藤昭弘. (1968). ウズラにおけるアルビノ形質に関する研究. 日本畜産学会報, 39(8), 348-352.
  • 大内山動物園. 大内山動物園の動物園たち(アルビノタヌキ). (http://www.oouchiyama-zoo.com/animals/8260/ 閲覧日:2020年3月3日)
  • 岡口晃子 & 辻野亮. (2018). 平城宮跡のツバメの集団ねぐらにおいて観察されたツバメの白化個体の頻度. 奈良教育大学自然環境教育センター紀要= Bulletin of Center for Natural Environment Education, Nara University of Education, (19), 55-61.
  • 佐藤孝二. (1994). アルビノカワウ, 2 例. 動物遺伝研究会誌, 22(1), 29-32.
  • 重田利拓, 小畑泰弘, 星野浩一, 岡本裕之, 正岡哲治 & 清水則雄. (2012). 瀬戸内海で採集されたアルビノのクサフグ Takifugu niphobles (フグ科). 広島大学総合博物館研究報告, (4), 13-21.
  • 篠原現人 & 尼岡邦夫. (1993). 下北半島沖で採集されたキチジのアルビノ個体. 魚類学雑誌, 39(4), 395-397.
  • 宮津直倫 , 今野正彰 , 新田静男. (1988). アルビノのエゾヤチネズミ. 森林保護, 207: 40.
  • 西川完途. (2000). ツシマサンショウウオのアルビノ. 爬虫両棲類学会報, 2000(2), 112-114.
  • 「幸運呼ぶ!?白エイ 桂浜水族館で「ウチワザメ」アルビノ初展示」『高知新聞』,2019年7月20日,電子版(https://www.kochinews.co.jp/article/294281/ 閲覧日:2020年3月3日)
  • 「とても珍しい真っ白な“ナマコ”幸運呼ぶ?」『日テレNEWS24』,2021年2月2日,(https://www.news24.jp/articles/2021/02/02/07814958.html 閲覧日:2020年3月3日)』
  • 「“真っ白”のヒグマ目撃相次ぐ」『日テレNEWS24』,2017年8月11日,(https://www.news24.jp/articles/2017/08/11/07369640.html  閲覧日:2020年3月3日)』
  • 「白いアナグマ、駆除用のわなに アルビノか? 津山・加茂の山中」.『山陽新聞distal』, 2020年9月7日(https://www.sanyonews.jp/sp/article/1049540 閲覧日:2020年3月3日)』
  • 「真っ白カラス 高知県香南市で撮影 「かなり珍しい」」『高知新聞』, 2018年9月22日.(https://www.kochinews.co.jp/article/217589/ 閲覧日:2020年3月3日)』
  • 「アルビノのバンドウイルカ「スピカ」」『くじらの博物館』, 2015年3月10日. (http://www.kujirakan.jp/pdf/201503_spica.pdf 閲覧日:2020年3月3日)』