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【QGIS3】ジオリファレンサの使用方法について

 ジオリファレンサ機能は、位置情報を持たない画像データ等に位置情報を付与するためのツールです。これにより、古地図やスキャンした地図などをGIS上で重ね合わせることができます。本記事ではジオリファレンス機能の使用方法について解説します。

 記事の内容

  • ジオリファレンサについて解説

ジオリファレンサとは

 ジオリファレンサ機能は、位置情報を持たない画像データ等に位置情報を付与するためのツールです。これにより、古地図やスキャンした地図などをGIS上で重ね合わせることができます。

ジオリファレンサを使用する方法

ジオリファレンサの準備

 『ジオリファレンサ』 を使用する場合には、ラスタ(R)ージオリファレンサを選択します。あらかじめ基準となる地図(基盤地図等)を用意しておくとスムーズです。

ラスタ(R)ー ジオリファレンサ


ファイル(画像)の読み込み

 ジオリファレンサを選択すると、新しいウインドウが表示されます。ジオリファレンサしたいファイルを読み込む場合には、ファイルー ラスタを開く(またはラスタを開く)を選択します。

ジオリファレンサ ウインドウ

ファイルー ラスタを開く

または

ラスタを開く

座標値の指定

 ジオリファレンサには、あらかじめ特定できている地点の座標値を指定する方法と、地図上で目印となる地点(山頂や三角点等)を見つけ手動で指定する方法の2つがあります。

地点の座標値を指定する方法

 ジオリファレンサしたいラスタ(PDF等)の四隅などに座標値のある十字が記載されている場合があります。このような場合にはその座標値を手動で入力します。

 座標値の例

  • X、Y座標(度分秒(dd mm ss.ss)
  • 度(dd.dd)
  • 投影された座標(mmmm.mm)

地図上で目印となる地点する方法

 ジオリファレンスしたいラスタ(PDF等)にある地物を基に座標値を入力することができます。このようは場合には、ラスタの地物と同様のポイントをQGISのマップキャンバスから参照します。ロードされた参照データセット上をクリックして、座標を入力できます。

① 座標値を指定

② 地図上で目印となる地点を手動で指定

基準点の設定

 基準点(GPC)を設定する際には山頂や等高線など、年月が経っても変わらない地点を選ぶことが重要です。

基準点の例

 山頂、三角点、建物、交差点、行政界 など

 今回は令和5年度 クマ出没マップ(静岡県)を背景地図のOpen Street Mapsにあわせてジオリファレンサします。

静岡県 クマ出没マップ(https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/017/680/05kumasyutubotu.pdf

ジオリファレンサの開始

 すべてのポイントが設定されたらメニューバーの『ジオリファレンスを開始』を選択して変換設定と保存先を指定します。再度メニューバーの『ジオリファレンスを開始』を選択するとジオリファレンスした画像がラスタデータとしてインポートされます。

ジオリファレンサの設定

変換タイプ

線形

 線形では画像の水平移動と拡大縮小を行いますが、回転やその他の変換は行いません。歪みが少ない画像で使用します。最低でも2つのGCPが必要です。

ヘルマート

 ヘルマートでは、水平移動と回転を行います。歪みが少ないが回転が必要な画像で使用します。最低でも2つのGCPが必要です。

多項式1

 指定した座標位置に合わせて水平移動・回転・拡大縮小・せん断変形等を行います。対抗式1では 最低でも3つのGCPが必要です。

多項式2

 指定した座標位置に合わせて水平移動・回転・拡大縮小・せん断変形等を行います。対抗式1では 最低でも6つのGCPが必要です。

多項式3

  指定した座標位置に合わせて水平移動・回転・拡大縮小・せん断変形等を行います。対抗式1では 最低でも10のGCPが必要です。

薄型スプライン(Thin Plate Spline)

 薄板スプラインは、ラスタを柔軟に変形させてGCP(地上制御点)に一致させるジオリファレンス手法で、全体の表面曲率を最小化しながら局所的な変形を抑えます。破損や変形、不正確な地図、オルソ化されていない空中写真の補正に適しており、投影情報が不明な地図にも有用です。最低10個のGCPが必要で、精度向上にはより多くのGCPが推奨されます。

投影変換
 投影変換は、画像と地図キャンバス間の中心射影を表現する方法で、直線を保ちながら平行性やスケールを視点の変化に応じて調整します。斜め撮影の航空写真や傾いた写真をジオリファレンスする際に有用で、最低でも4つのGCPが必要です。

変換タイプ必要GCP
線形最低  2点~
ヘルマート最低  2点~
多項式1最低  3点~
多項式2最低  6点~
多項式3最低 10点~
薄型スプライン(Thin Plate Spline)最低 10点~
投影変換最低  4点~

リサンプリング方法

ぼう リサンプリングの種類は、入力データや目的に応じて選択する必要があります。元のラスターデータの統計値を変更したくない場合は最近傍(Nearest neighbour)を選択します。一方で、例えばキュービック・スプライン(Cubic resampling)を使用すると、一般的に視覚的に滑らかな結果が得られます。

  • 最近傍
  • 線形
  • キュービック(Cubic)
  • キュービック・スプライン(Cubic Spline)
  • ランチョス法(Lanczos)

ジオリファレンサの結果

 ジオリファレンサが成功するとレイヤが追加されます。追加されたレイヤが正しく重ねあわされているか確認します。また、実地計測データや他のGISデータと重ね合わせて精度を評価します。

 今回は都道府県界のデータと重ね合わせてジオリファレンサの精度を確認しました。

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