ニホンザル(Macaca fuscata)は霊長目オナガザル科マカク属に分類される哺乳類であり、本州・四国・九州(屋久島・種子島などの島嶼部を含む)に生息しています。青森県下北半島に生息しているニホンザルは、霊長類の世界的な分布の北限であることから、下北半島のサルおよびサル生息北限地は天然記念物に指定されています。
特徴
ニホンザル(Macaca fuscata)は霊長目オナガザル科マカク属に分類される哺乳類であり、本州・四国・九州(屋久島・種子島などの島嶼部を含む)に生息しています。青森県下北半島に生息しているニホンザルは、霊長類の世界的な分布の北限であることから、下北半島のサルおよびサル生息北限地は天然記念物に指定されています。
繁殖生態
出産時期
地域 | 繁殖期 | 出産時期 | 論文 |
---|---|---|---|
三重県鈴鹿山系 (上丹生群) ※餌付け個体群 | ー | 4〜7月 | 杉山 & 大沢,1974 |
妊娠率と初産年齢
地域 | 妊娠率 | 初産年齢(割合) | 論文 |
---|---|---|---|
兵庫県 (美方A群) | 14.3〜73.7% (2010年 14.3%) (2011年 73.7%) | ー | 森光ほか,2013 |
三重県鈴鹿山系 (上丹生群) ※餌付け個体群 | ー | 初産 5歳 50% 6歳 40% 7歳 10% | 杉山 & 大沢,1974 |
食性
ニホンザルは雑食性で、植物の葉や果実、種子、樹皮、冬芽、昆虫、両生類、キノコなど、様々なものを採食します。春には植物の若葉や芽・花など、夏には毒がある植物やアクが強い植物を除いた多くの植物の葉や芽・花・種子などを採食します。また、昆虫類や節足動物・両生類なども機会があれば採食します。秋にはミズキやブナ・ヤマブドウなどの植物の種子や果実を多く採食します。冬季は最もえさ環境の悪い季節で、植物の樹皮や冬芽・葉などを採食します。
植物
葉
種名 | 論文 |
---|---|
イタヤカエデ | 小金沢正昭. (1996). |
ウシノケグサ類 | 小金沢正昭. (1996). |
シロヤシオ | 小金沢正昭. (1996). |
ススキ | 小金沢正昭. (1996). 白山自然保護センター. (1988). |
シシウド | 上馬康生. (1992). |
シロツメクサ | 小金沢正昭. (1996). |
チシマザサ | 上馬康生. (1992). |
ハギ | 白山自然保護センター. (1988). |
ハクサンアザミ | 白山自然保護センター. (1988). |
ブナ | 小金沢正昭. (1996). |
ミヤコザサ | 小金沢正昭. (1996). |
ヤマザクラ | 白山自然保護センター. (1988). |
種子・果実
種名 | 論文 |
---|---|
ウリノキ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
ウルシ類 | 小金沢正昭. (1996).小金沢正昭. (1996). |
ウワミズザクラ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
エビヅル | 小金沢正昭. (1996). |
オニグルミ | 白山自然保護センター. (1988). |
ガマズミ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
カマツカ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
キイチゴ類 | 小金沢正昭. (1996). |
キハダ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
キブシ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
クマイチゴ | 上馬康生. (1992). |
クマシデ類 | 小金沢正昭. (1996). |
クリ | 小金沢正昭. (1996). |
クロモジ類 | 小金沢正昭. (1996). |
ケチジミザサ | 小金沢正昭. (1996). |
コゴメウツギ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
サクラ類 | 小金沢正昭. (1996). |
サルナシ | 小金沢正昭. (1996). 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
ツタ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
ツノハシバミ | 白山自然保護センター. (1988). |
ツリバナ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
ツルウメモドキ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
ナワシロイチゴ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
フジ | 鈴木延夫. (1984). |
ブナ | 鈴木延夫. (1984). 小金沢正昭. (1996). 白山自然保護センター. (1988). |
マタタビ | 小金沢正昭. (1996). 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
マユミ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
ミズキ | 小金沢正昭. (1996). 白山自然保護センター. (1988). |
ミズヒキ | 小金沢正昭. (1996). |
ミズナラ | 小金沢正昭. (1996). |
ミツバアケビ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
ムラサキシキブ | 小金沢正昭. (1996). 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
モミジイチゴ | 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). |
ヤマブドウ | 小金沢正昭. (1996). 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). 白山自然保護センター. (1988). 上馬康生. (1992). |
ヤマグワ | 鈴木延夫. (1984). 小金沢正昭. (1996). |
樹皮・冬芽
種名 | 論文 |
---|---|
アオダモ | 鈴木延夫. (1984). 小金沢正昭. (1996). |
アカシデ | 鈴木延夫. (1984). |
イワガラミ | 鈴木延夫. (1984). |
ウワミズザクラ | 鈴木延夫. (1984). |
オオバアサガラ | 小金沢正昭. (1996). |
ガマズミ | 鈴木延夫. (1984). |
キハダ | 鈴木延夫. (1984). |
クロモジ | 鈴木延夫. (1984). |
ケヤキ | 白山自然保護センター. (1988). |
コシアブラ | 鈴木延夫. (1984). |
コメツガ | 鈴木延夫. (1984). |
サルナシ | 鈴木延夫. (1984). |
サンショウ | 鈴木延夫. (1984). |
シナノキ | 鈴木延夫. (1984). |
タカノツメ | 鈴木延夫. (1984). |
ダケカンバ | 鈴木延夫. (1984). |
タムシバ | 鈴木延夫. (1984). |
タラノキ | 鈴木延夫. (1984). |
ダンコウバイ | 鈴木延夫. (1984). |
ツタウルシ | 鈴木延夫. (1984). |
ツルウメモドキ | 鈴木延夫. (1984). |
ツリバナ | 鈴木延夫. (1984). |
ツルアジサイ | 鈴木延夫. (1984). |
トチノキ | 鈴木延夫. (1984). |
ハナイカダ | 鈴木延夫. (1984). |
ヒロハノツリバナ | 鈴木延夫. (1984). |
フジ | 鈴木延夫. (1984). 白山自然保護センター. (1988). |
ニシキウツギ | 小金沢正昭. (1996). |
ニセアカシア | 小金沢正昭. (1996). |
ノリウツギ | 鈴木延夫. (1984). |
ヒノキアスナロ | 鈴木延夫. (1984). |
ブナ | 鈴木延夫. (1984). |
ホオノキ | 鈴木延夫. (1984). |
マタタビ | 鈴木延夫. (1984). |
マユミ | 鈴木延夫. (1984). |
ミヤマアオダモ | 鈴木延夫. (1984). |
ヤドリギ | 鈴木延夫. (1984). |
ヤマウルシ | 鈴木延夫. (1984). |
ヤマグワ | 鈴木延夫. (1984). 小金沢正昭. (1996). |
ヤマブドウ | 鈴木延夫. (1984). |
ユリノキ | 鈴木延夫. (1984). |
両生類・その他動物
種名 | 論文 |
---|---|
カタツムリ | 白山自然保護センター. (1988). |
モリアオガエル(泡巣) | 井上光興, & 辻大和. (2016). |
ニホンザルによる農作物被害
ニホンザルの多くは人里に群れで出没するため、短期間で甚大な農林作物被害が発生する傾向があります。サルの被害の特徴は、農林作物の美味しい部分のみを採食する、ぜいたくな食べ方をします。採食痕跡としてはあたり一面散らかっていることが多く、人間のような歯形が残ったり、皮や種を吐き出したような痕跡が残ります。
サルによる農林作物被害は穀物類(イネ等)や果菜類(トマト・ナス等)、葉菜類(キャベツ・レタス等)、果樹(カキ・クリ等)、キノコ(シイタケ)、造林木(スギ・ヒノキ)など幅広い品目に被害を与えます。
穀物類
種名 | 論文 |
---|---|
アワ | 浅田正彦.(2011). 松田勇二. (1993). |
小豆 | 安井淳雅. (2013). 鈴木克哉. (2004). |
イネ | 安井淳雅. (2013). 浅田正彦.(2011). 松田勇二. (1993). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
大麦 | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). |
小麦 | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). |
ササゲ | 鈴木克哉. (2004). |
大豆 | 浅田正彦.(2011). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 鈴木克哉. (2004). |
トウモロコシ | 浅田正彦.(2011). 中域海咲, 加藤元海. (2018). 松田勇二. (1993). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
果菜類 〜果実を食べる野菜〜
種名 | 論文 |
---|---|
イチゴ | 中域海咲, 加藤元海. (2018). 松田勇二. (1993). 鈴木克哉. (2004). |
インゲン | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
エダマメ | 安井淳雅. (2013). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
エンドウ | 安井淳雅. (2013). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
カボチャ | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
キュウリ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
サヤインゲン | 松田勇二. (1993). |
シシトウ | 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). |
スイカ | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ソラマメ | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
トウガン | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
トウモロコシ | 安井淳雅. (2013). |
トマト | 浅田正彦.(2011). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ナス | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ハヤトウリ | 中域海咲, 加藤元海. (2018). |
ピーマン | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
メロン | 鈴木克哉. (2004). |
ラッカセイ | 浅田正彦.(2011). 松田勇二. (1993). |
ユウガオ | 鈴木克哉. (2004). |
葉菜類 〜葉や茎を食べる野菜〜
種名 | 論文 |
---|---|
カラシナ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
キャベツ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
タアサイ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
チンゲンサイ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ツケナ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ネギ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ハクサイ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ブロッコリー | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ホウレンソウ | 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
レタス | 安井淳雅. (2013). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
根菜類 〜根の部分を食べる野菜〜
種名 | 論文 |
---|---|
カブ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
サツマイモ | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). |
サトイモ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). |
ジャガイモ | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ダイコン | 安井淳雅. (2013). 中域海咲, 加藤元海. (2018). 松田勇二. (1993). 鈴木克哉. (2004). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
タケノコ | 浅田正彦.(2011) |
タマネギ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ニンジン | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ラッキョウ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ヤマイモ | 安井淳雅. (2013). |
果樹類
種名 | 論文 |
---|---|
イチジク | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). |
ウメ | 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). |
カキ | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 中域海咲, 加藤元海. (2018). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
カリン | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
キウイフルーツ | 松田勇二. (1993). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
クリ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
クワ | 中域海咲, 加藤元海. (2018). |
ナシ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). 中域海咲, 加藤元海. (2018). |
ミカン | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). |
モモ | 松田勇二. (1993). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ハッサク | 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). |
ビワ | 浅田正彦.(2011) 安井淳雅. (2013). 中域海咲, 加藤元海. (2018). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). |
ブドウ | 安井淳雅. (2013). 松田勇二. (1993). |
ポンカン | 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). |
ユズ | 安井淳雅. (2013). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
リンゴ | 安井淳雅. (2013). |
花卉類
種名 | 論文 |
---|---|
キク | 安井淳雅. (2013). 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ソメイヨシノ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
チューリップ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
ツバキ | 吉田洋, 林進, 北原正彦, & 藤園藍. (2006). |
キノコ類
種名 | 論文 |
---|---|
シイタケ | 浅田正彦.(2011), 松田勇二. (1993). 鈴木克哉. (2004). 小田亮, 松本晶子, 田代靖子 & 五百部裕. (2000). |
造林木
種名 | 論文 |
---|---|
スギ | 松田勇二. (1993). |
ヒノキ | 松田勇二. (1993). |
群れのサルの数
野生のニホンザルは「群れ」と呼ばれるまとまった集団で生活しており、群れはおもにメスとその子供を中心に構成されます。オスは4~6歳頃に群れを離れて単独(ハナレザル)で行動したり、オスだけのグループを形成したり、他の群れに加わるなどします。
群れの規模は数十頭から百数十頭であり、群れの分裂や生息域の環境などにも左右されますが、多くは30~50頭前後の群れを構成します。
ニホンザルの群れのサル数
野生のニホンザルは「群れ」と呼ばれるまとまった集団で生活しており、群れはおもにメスとその子供を中心に構成されます。オスは4~6歳頃に群れを離れて単独(ハナレザル)で行動したり、オスだけのグループを形成したり、他の群れに加わるなどします。
群れの規模は数十頭から百数十頭であり、群れの分裂や生息域の環境などにも左右されますが、多くは30~50頭前後の群れを構成します。
神奈川県 丹沢山域
地域 | 群れ名 | 群れ数 | 論文 |
---|---|---|---|
神奈川県 丹沢山域 | 鍋嵐群 | 70頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 南大山沢群 | 10頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 宮ガ瀬金沢群 | 21頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 塩水川群 | 10頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 伊勢沢群 | 10頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 棒ノ木丸群 | 20頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 箒杉沢群 | 15頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 雨山群 | 10頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 石小屋ノ頭群 | 15頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 矢駄沢群 | 10頭 | 飯村, 1987 |
神奈川県 丹沢山域 | 界風岩山群 | 10頭 | 飯村, 1987 |
石川県 白山地域
地域 | 群れ名 | 群れ数 | 論文 |
---|---|---|---|
石川県 白山地域 | タイコA1 | 71頭 | 野崎ほか, 1993 |
石川県 白山地域 | クロダニ郡 | 53頭 | 野崎ほか, 1993 |
石川県 白山地域 | KMA1 | 42頭〜 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | KMA3 | 17頭〜 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | KMC | 27頭〜 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | KMD | 57頭 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TA11b | 46頭 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TA12 | 12頭〜 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TA21 | 95頭 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TA22 | 39頭 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TA3 | 53頭 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TA4 | 50頭〜 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TB1 | 29頭 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TB21 | 10頭〜 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | TB22 | 45頭 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | ODA | 9頭〜 | 滝ほか, 2005 |
石川県 白山地域 | ODB | 22頭〜 | 滝ほか, 2005 |
兵庫県
地域 | 群れ名 | 群れ数 (推定) | 論文 |
---|---|---|---|
豊岡 | 城崎A | 31頭 | 安井, 2013 |
美方 | 美方A | 35頭 | 安井, 2013 |
大河内・生野 | 大河内A | 43頭 | 安井, 2013 |
大河内・生野 | 大河内B | 56頭 | 安井, 2013 |
大河内・生野 | 大河内C | 126頭 | 安井, 2013 |
篠山 | 篠山A | 66頭 | 安井, 2013 |
篠山 | 篠山B | 32頭 | 安井, 2013 |
篠山 | 篠山C | 33頭 | 安井, 2013 |
篠山 | 篠山D | 35頭 | 安井, 2013 |
佐用 | 佐用餌場群 | 76頭 | 安井, 2013 |
淡路 | 淡路餌場群 | 310頭 | 安井, 2013 |
群れの遊動域
野生のサルの群れは、一定の範囲(遊動域)を餌を探しながら生活しています。遊動域は群れの規模・生息環境・季節等によって異なり、1.6~20.8㎢です。群れ同士の遊動域は重なりあっていることが多く、遊動域の場所は群れの構成メンバーが変化しても同じ場所で生活していきます。
ニホンザルの遊動域
野生のサルの群れは、一定の範囲(遊動域)を餌を探しながら生活しています。遊動域は群れの規模・生息環境・季節等によって異なり、1.6~20.8㎢です。群れ同士の遊動域は重なりあっていることが多く、遊動域の場所は群れの構成メンバーが変化しても同じ場所で生活していきます。
東北
地域 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 | 年間 | 論文 |
---|---|---|---|---|---|---|
青森県 下北半島 (M群) | ー | ー | ー | (1〜3月) 13.50 〜 15.88 ㎢ | ー | 鈴木, 1984 |
関東
~丹沢山域~
地域 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 | 年間 | 論文 |
---|---|---|---|---|---|---|
鍋嵐群 | ー | ー | ー | ー | 18 ㎢ | 飯村, 1987 |
南大山沢群 | ー | ー | ー | ー | 4.0 ㎢ | 飯村, 1987 |
宮ガ瀬金沢群 | ー | ー | ー | ー | 6.0 ㎢ | 飯村, 1987 |
塩水川群 | ー | ー | ー | ー | 3.5 ㎢ | 飯村, 1987 |
伊勢沢群 | ー | ー | ー | ー | 4.0 ㎢ | 飯村, 1987 |
棒ノ木丸群 | ー | ー | ー | ー | 4.0 ㎢ | 飯村, 1987 |
箒杉沢群 | ー | ー | ー | ー | 6.3 ㎢ | 飯村, 1987 |
雨山群 | ー | ー | ー | ー | 3.8 ㎢ | 飯村, 1987 |
石小屋ノ頭群 | ー | ー | ー | ー | 4.3 ㎢ | 飯村, 1987 |
矢駄沢群 | ー | ー | ー | ー | 4.0 ㎢ | 飯村, 1987 |
界風岩山群 | ー | ー | ー | ー | 4.0 ㎢ | 飯村, 1987 |
北陸
地域 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 | 年間 | 論文 |
---|---|---|---|---|---|---|
石川県 白山山麓 | ー | ー | (9〜11月) 6.4 ~ 12.5 ㎢ | (12~1月) 3.7 ~ 4.5 ㎢ | ー | 野崎ほか, 1993 |
東海
地域 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 | 年間 | 論文 |
---|---|---|---|---|---|---|
三重県 | (3〜5月) 18.8 ㎢ | (6〜8月) 17.8 ㎢ | (9〜11月) 20.8 ㎢ | (12〜2月) 19.6 ㎢ | ー | 佐野, 2003 |
四国
地域 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 | 年間 | 論文 |
---|---|---|---|---|---|---|
香川県 (大多和) | 1.7 ㎢ | 4.5 ㎢ | 2.7 ㎢ | 3.3 ㎢ | ー | 中川, 1991 |
香川県 (南川) | 5.4 ㎢ | 5.7 ㎢ | 3.8 ㎢ | 3.6 ㎢ | ー | 中川, 1991 |
香川県 (大樅) | 1.8 ㎢ | 2.9 ㎢ | 1.6 ㎢ | 2.6 ㎢ | ー | 中川, 1991 |
香川県 (鈴竹) | 1.7 ㎢ | 1.7 ㎢ | 1.6 ㎢ | 1.7 ㎢ | ー | 中川, 1991 |
香川県 (大楢) | 2.0 ㎢ | 2.9 ㎢ | 2.1 ㎢ | 3.1 ㎢ | ー | 中川, 1991 |
引用文献
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- 井上光興, & 辻大和. (2016). 野生ニホンザル Macaca fuscata によるモリアオガエル Rhacophorus arboreus 泡巣の採食事例. 霊長類研究, 32-004.
- 江成広斗, 松野葉月, & 丸山直樹. (2005). 白神山地北東部に生息する野生ニホンザル (Macaca fuscata) の農地利用型食物選択. 野生生物保護, 9(2), 77-92.
- 白山自然保護センター. (1988). 白山の自然誌8 ニホンザルの四季. 21pp.
- 飯村武. (1987). 丹沢山塊のニホンザルについて. 神奈川県自然誌資料, 8, 61-66.
- 小金沢正昭. (1996). 日光におけるニホンザルの食性の季節的変化.
- 松田勇二. (1993). 野猿による農作物被害の現状と対策ー福井県ー. 植物防疫. 47(7). 292-296.
- 森光由樹, 鈴木克哉, 中村幸子 & 斎田栄里奈. (2013). 兵庫県の野生ニホンザルにおける繁殖率把握方法の検討. 兵庫ワイルドライフモノグラフ. 5: 27-32.
- 中川盛智. (1991). 香川県東讃地域におけるニホンザル野生群の分布と遊動様式. 香川生物, 19, 113-124.
- 中域海咲, 加藤元海. (2018). 高知県大豊市におけるニホンザルの分布変化と農業被害の状況.黒潮園科学. 11-2, 163-169.
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- 滝澤均, 伊沢絋生, 志鷹敬三. (2005). 石川県内の野生ニホンザル個体群の現状. 石川県白山自然保護センター研究報告. 32: 37-44.
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