座標系とは、地球上にある地点の位置を表すための基準点や座標の単位などの事を呼びます。GISで使用する座標系には、地理座標系や投影座標系などがあります。本ページでは、地理座標系(緯度・経度)・投影座標系(X・Y)の変換方法について解説します。
記事の内容
- 座標参照系(CRS)を変換する方法について解説
- 座標参照系(CRS)を確認する方法について解説
測地系とは
測地系とは、国や複数の地域単位で採用される、測量・地図作成・土地の管理・大規模土木工事などの基準となる測地体系です。
日本で採用されている測地系は、VLBIやGNSSなどの技術を利用して定められた『日本測地系2011(JGD2011)』が採用されています。JGD2011は世界全体で共通に利用ができる世界測地系であるITRF(国際地球基準座標系)に基づいています。
※ VLBI:天体からの電波を利用してアンテナの位置を測る技術
※ GNSS:GPS、準天頂衛星(QZSS)・GLONASS・Galileo等の衛星測位システムの総称
『日本測地系2011(JGD2011)』は世界全体で共通に利用ができる世界測地系であるITRF(国際地球基準座標系)に基づいており、GRS80楕円体面に表現されています。標高については東京湾平均海面からの高さで表されています。
座標系とは
地理座標系
地理座標系は、3 次元である地球上の位置を緯度と経度で表現する座標系です。緯度は赤道面(0°)を基準とし、北極は北緯90°・南極は南緯90°で表されます。経度は本初子午線(グリニッジ天文台:イギリス)を基準とし、本初子午線の反対側は東経180°・西経180°となる。
投影座標系
投影座標系は、3 次元(球体)である地球を 2 次元の平面に投影し、XY 座標で表現する座標系です。投影座標系では地球の形状なども考慮して投影を行うため、地理座標系の定義も含まれます。
平面直角座標系
平面直角座標は、ガウス・クリューゲルの等角投影法を基に作成されています。座標原点を通る子午線(真北と真南を結んだ線)は等長に、図形は等角の相似形に投影されます。距離は原点から東西に離れるに従って平面距離が増加していくため、投影距離の誤差を相対的に1/10000以内に収めるよう座標原点を通る子午線上の縮尺係数を0.9999に設定されています。そのため、座標原点から東西約130km以内を適用範囲とした座標系(全国19の平面直角座標系:下図)が設けられています。
系番号 | 座標系原点 | 都道府県 |
---|---|---|
Ⅰ | 129度30分0秒 33度 0分0秒 | 長崎県 鹿児島県(※) ※一部地域 |
Ⅱ | 131度0分0秒 33度0分0秒 | 福岡県 佐賀県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 |
Ⅲ | 132度10分0秒 36度0分0秒 | 山口県 島根県 広島県 |
Ⅳ | 133度30分0秒 33度0分0秒 | 香川県 愛媛県 徳島県 高知県 |
Ⅴ | 134度20分0秒 36度0分0秒 | 兵庫県 鳥取県 岡山県 |
Ⅵ | 136度0分0秒 36度0分0秒 | 京都府 大阪府 福井県 滋賀県 三重県 奈良県 和歌山県 |
Ⅶ | 137度10分0秒 36度0分0秒 | 石川県 富山県 岐阜県 愛知県 |
Ⅷ | 138度30分0秒 36度0分0秒 | 新潟県 長野県 山梨県 静岡県 |
Ⅸ | 139度50分0秒 36度0分0秒 | 東京都(※) ※一部地域 福島県 栃木県 茨城県 埼玉県 千葉県 群馬県 神奈川県 |
Ⅹ | 140度50分0秒 40度0分0秒 | 青森県 秋田県 山形県 岩手県 宮城県 |
Ⅺ | 140度15分0秒 44度0分0秒 | 北海道(※) ※一部地域 |
Ⅻ | 142度15分0秒 44度0分0秒 | 北海道(※) ※一部地域 |
ⅩⅢ | 144度15分0秒 44度0分0秒 | 北海道(※) ※一部地域 |
ⅩⅣ | 142度 0分0秒 26度0分0秒 | 東京都(※) ※一部地域 |
ⅩⅤ | 127度30分0秒 26度0分0秒 | 沖縄県(※) ※一部地域 |
ⅩⅥ | 124度 0分0秒 26度0分0秒 | 沖縄県(※) ※一部地域 |
ⅩⅦ | 131度 0分0秒 26度0分0秒 | 沖縄県(※) ※一部地域 |
ⅩⅧ | 136度 0分0秒 20度0分0秒 | 東京都(※) ※一部地域 |
ⅩⅨ | 154度 0分0秒 26度0分0秒 | 東京都(※) ※一部地域 |
UTM(Universal Transverse Mercator)
ユニバーサル横メルカトル図法(UTM:Universal Transverse Mercator)は、 3 次元(球体)である地球を 2 次元の平面に投影する方法の一つであり、地球の赤道面を中心に横にした円柱に球形である地球を投影したものです。球形を平面に投影する際にひずみが生じてしまうため、経度6度の幅をUTM図法では使用します。
座標参照系(CRS)を変換する方法
シェープファイルをインポート
シェープファイル(Shapefile)は米国ESRI社が策定したデータ相互交換用のデータフォーマットで、道路や建物などの位置情報や形状、属性情報を持つベクターデータ(ポイント・ライン・ポリゴン)を格納することができます。仕様が公開されているので、ArcGIS(ESRI)やその他多くのGISソフトウェアで幅広く利用されています。また、さまざまな自治体や機関からシェープファイル形式のデータが提供・販売されています。
座標参照系(CRS)を確認する
座標参照系(CRS)を確認するためには、レイヤを右クリックし、レイヤのプロパティ ー 情報を開きます。レイヤのプロパティの座標参照系(CRS)を確認します(例:EPSG:6668 – JGD2011)。
座標参照系(CRS)を変換する
座標参照系(CRS)を変換する方法は、レイヤを右クリック ー エクスポート ー 地物の保存… を選択します。『ベクタレイヤを名前を付けて保存…』のウインドウが表示されたら、ファイル名(保存場所等)を選択します。座標参照系(CRS)の変更には、右側地球儀のマーク(🌐)を選択します。
『座標参照系の選択』のウインドウが表されたら、フィルタへ変更したい座標参照系【例:JGD2011】を入力します。『あらかじめ定義されたCRS』へ検索した座標参照系が表示されるため、変更したい座標参照系を選択し、『OK』をクリックします。『ベクタレイヤに名前をつけて保存』のウインドウに選択した座標参照系が表示されてした場合は、OKをクリックしてレイヤをエクスポートします。
地理的座標系
座標系 | 参照系ID |
---|---|
JGD2011 | EPSG:6697 |
JGD2011 | EPSG:6668 |
JGD2011 | EPSG:6667 |
投影座標系(Transverse Mercator)
座標系 | 参照系ID |
---|---|
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅰ | EPSG:6669 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅱ | EPSG:6670 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅲ | EPSG:6671 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅳ | EPSG:6672 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅴ | EPSG:6673 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅵ | EPSG:6674 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅶ | EPSG:6675 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅷ | EPSG:6676 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅸ | EPSG:6677 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅹ | EPSG:6678 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅺ | EPSG:6679 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS Ⅻ | EPSG:6680 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS ⅩⅢ | EPSG:6681 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS ⅩⅣ | EPSG:6682 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS ⅩⅤ | EPSG:6683 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS ⅩⅥ | EPSG:6684 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS ⅩⅦ | EPSG:6685 |
JGD2011/Japan Plane Rectangular CS ⅩⅧ | EPSG:6686 |
投影座標系(Universal Transverse Mercator)
座標系 | 参照系ID |
---|---|
JGD/UTM zone 51N | EPSG:6688 |
JGD/UTM zone 52N | EPSG:6689 |
JGD/UTM zone 53N | EPSG:6690 |
JGD/UTM zone 54N | EPSG:6691 |
JGD/UTM zone 55N | EPSG:6692 |
出力レイヤのレイヤプロパティを開き、イヤの座標参照系(CRS)が変更されているか確認します。
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